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75 ローカルとニュータウンが入り混じる路線

取手駅―北方車庫 [大利根交通自動車]

東京から電車で50分、千葉県から茨城県入りした直後の取手駅。

ここから少数精鋭の路線バス会社、大利根交通自動車。取手駅を拠点として数路線を運行するローカルバス会社。しかし取手は東京への通勤地として駅より離れた場所へもニュータウンが増えて右肩上がりのバス会社となった。

取手駅を発車すると今渡ってきた利根川沿いに東へ、他社のバスは直進するが大利根交通は右折し川の土手下を快走する。左は田畑が広がり右は河川敷、散策にスポーツに多くの近隣の人たちの憩いの場でもある。

バスはその先分離した他社路線と合流する。近年暴れ川となった小貝川渡ると羽根の台、新しい民家が並ぶ。広き緑に囲まれた大自然豊かな住宅地をかつてのローカルバスが行く。

まもなく営業所のある北方車庫に到着するが、路線によってはこの先の新興住宅地を回る路線もある。 末広がりの印象がある大利根交通だ。

74 琵琶瀬展望台

26系統霧多布線 くしろバス本社―釧路駅―厚岸営業所―琵琶瀬展望台―霧多布温泉ゆうゆ [くしろバス]

北海道も道東までくると更に北海道らしさを感じる。雪の積雪量は比較的少ないが、風は強く寒さは厳しさを増す。

釧路駅前から26系統霧多布線に乗車すると、先ずは市内を一周する。市内を抜けると国道44号線を西へ。民家もなくなり、のどかな牧場眺め家畜の白く吐く息は北海道の寒さの厳しさ、ここで生活する人たちとともに生き抜く動物の活気ある姿がうかがえる。

湿原を飽きるほど眺めると、やがて見えてくるのが青い海、そして久々に町が見えてくる。これが厚岸。一旦町中へ入り込んで駅前の営業所で時間調整。国道44号から分離して海岸線を行く。右に太平洋、左に厚岸湖、藻散布沼、火散布沼などを眺めると霧多布湿原を一望できる琵琶瀬となる。

この琵琶背過ぎて地平線と水平線を一度に見ることができる。左に湿原右は太平洋の贅沢な車窓を受けて浜中の町に。町を貫き急坂上ると港が一望できる丘の上にたどり着く。街の人たちの憩いの場所でもある霧多布温泉ゆうゆに到着。日帰り温泉が体を温めるが、外へ出ると露天風呂もある。風強い氷点下から熱いお湯につかるのは快感。

73 海上を行く

しまなみ海道来島海峡大橋 [(株)仁多観光 (株)瀬戸内しまなみリーディング]

本州から四国連絡橋3本のうち一番西側に位置し開通は3番目、つまり最後に開通した連絡橋。通称尾道今治ルート、瀬戸内しまなみ海道と呼ばれている。

これで香川県や徳島県の四国東側に対し四国西側の奥地となる愛媛県、高知県へのアクセスが便利になった。

手前の仁多観光は島根県の観光バス会社、山陰から四国西部へは距離的には短いが交通ルートは不便だったのでは、今では四国旅行を気軽に楽しむことが出来て、この日も思い出深い旅を終えて本州へ向け帰路に就くのだろう。

対する左奥側を走るのは、橋を渡って四国入りする定期バス、瀬戸内しまなみリーディング。メイン路線の福山―今治を結ぶ他、本州側は広島発も、四国側は松山行きもある。

撮影したのはこのしまなみ道の中で最も南側の来島海峡大橋、定期バスは瀬戸内しまなみリーディングをはじめ地元の多くのバス会社。また各地からやって来る観光バスが、四国から本州へ、そして本州から四国入りするバスが常に行きかい見ていて飽きない光景だ。

72 ひょうたん山

右回り 赤岩曉―三七山[三宅島村営バス]

三宅島の路線バスは島の外周道路を一周する一路線のみ。左回りと右回りが5便ずつあり、どちらもほぼ同じ時間に発車しその右回りに乗る。坪田地区の最北が起点となる三池でここから乗車して左回りとすれ違う。左回りは坪田地区最南の高校前が起点となる。

島を一周すると左に御蔵島が見えてきて、ひょうたん山のヘアピンカーブの急坂を上る。1940年の噴火で出来た山で海にも飛び出ている。写真はこの展望台から撮影。見晴らし良く美しいが、黒い溶岩流が目に入り胸を痛める。登り詰めると先ほど乗車した起点となる三池。まだ終点ではなく左回りともう一度すれ違えば終点高校前となる。この三池と高校前は坪田地区の中心部とあって一周して更にこの部分だけ重複して走る。

三宅島は釣り、海水浴、スキューバダイビングなどの海を活用した楽しみ、そして自然に恵まれた観光地も多数あるが、前述のとおり火山の噴火で青き海と、草原の緑美しい自然に恵まれているが、黒い溶岩の傷跡が多く苦労された住民のことを考えて、その姿を十分にみてねぎらってほしい。

71 ネモフィラの美しさに包まれて

わんわんバス、とんとんバス [マザー牧場・場内周遊バス 千葉県富津市]

春真っ盛りに咲き競うネモフィラ。千葉県房総半島のほぼ中央に位置し雄大な敷地面積を誇るマザー牧場。数多くの動物たちとの触れ合いが楽しめるし、草食動物なので直接触ることが出来、自らの飼い犬も入場可能。動物の次なる楽しさは多くの植物が季節ごとに山の斜面に咲き乱れる。

温暖な房総に年が明けると、ロウバイ、水仙、少し暖かくなるとウメやモモ、そして房総のシンボル菜の花が350万本咲き、その次がネモフィラ。ネモフィラは80万本咲き乱れる。その傍らに発車するバス。広き園内を周遊する「わんわんバス」、2カ所の出入口近くのゲートを結ぶ「とんとんバス」が運行されている。

品川、横浜など神奈川県や東京城南のナンバーを付けたマイカーが目立つが、アクアライン使ったドライブに最適のようだ。公共交通なら、内房線の君津駅と佐貫町駅からマザー牧場行、日東交通の路線バスが利用できる。緑深き山の中へと坂を上り続け、静かな東京湾を一望できる風光明媚な路線だ。牛の牧場が左に見えてくると終点マザー牧場。

ネモフィラはゴールデンウィーク後まで美しき姿を見せているが、その後、アジサイ、ペチュニア、サルビアへと続き美しき花々が来園者を待っている。

70 箱根・大平台のヘアピンカーブ(箱根町・大平台駅付近)

観光バス [東栄運輸(株)]

大きなヘアピンカーブ、これでもれっきとした東海道国道一号線。

どこ行っても混んでいる正月は静かに過ごして、ブラウン管越しに箱根駅伝見ている人は一目瞭然。特に今年は多くの人がお茶の間で見るのでは。ここを通過する姿は定番。

普段は地の利の良さから、中京はもとより関西からもその西からも多数の観光バスがやってくる。もちろん東京の奥座敷とあり関東からの観光バスが多くやってくるが、写真の車両は埼玉県で50年の歴史を誇る貸切専業の東栄運輸の観光バス。早めの現地到着で、明るいうちから宴会が開催されるのだろうか。

ここへ路線バスで行くなら小田原駅から、湖尻行き(伊豆箱根バス)箱根町港行き(箱根登山バス)に乗車し大平台駅バス停下車。この前後も箱根観光地を車窓から眺められるおすすめ路線で、バス停名は違っても路線のクライマックス、終着は峠を越えた先の広く青い芦ノ湖。

現地は前述のとおり主要幹線で交通量がとても多くそして急坂のカーブ続き。低速走行は他車迷惑。そうならないようかなりの速度で路線バスも走るが、さすがベテランドライバー。シーズン週末は車内で乗客が立っていても豪快な速度でも揺れないで快走する。

69 澄みわった谷川岳の空気

谷川岳ロープウェイ~一ノ倉沢 [みなかみ町]

水上駅から関越交通の路線バスで20分。終点、谷川岳ロープウェイ駅。降りればロープウェイに乗り換える人、リュック抱えて歩いて行く人などそれぞれの目的地に。そしてここから一ノ倉沢までの電気バスが待機している。こちらのバスに乗る人は少数だが、数人が乗れば動き取れなくなりそうな小さなバス。

時間になると動きはじめ涼風が全体を癒す。夏季著しい暑さも忘れてしまうほどの涼しさだ。続く上り坂、カーブ続く急坂。リュック背にしている登山者に乗務員は手を振るし登山者も振りかえす。

一ノ倉沢は広き乗降場所。どこを見渡しても美しき緑の風景とおもいっきり空気を鼻からも口からも吸い込める癒しの場所。素晴らしき空気も緑も毎日のあわただしさを忘れたかの様なひとときだ。

この電気バス運行当初は、交通弱者のみ乗車できたが、今では誰でも乗ることができる。あくまでもみなかみ町の自家用なので、一律の金額を運賃に代わって募金箱に投入する。運行は関越交通が委託。バスに興味あってもここまで来たなら、バスは片道だけにしてどちらか一方は歩いて谷川の自然を満喫してほしい。

68 ポツンと一台バスは走る

城辺バスセンター―樫月下(かしづきした)[宇和島自動車]

城辺の路線バス拠点、城辺バスセンターを発車すると一旦役場を過ぎて南宇和病院へ立ち

寄る。そして僧都川渡るとショッピング街が集中している町で一番賑やかな人通り多い中を突き抜けて左折して再び僧都川を渡り南下する。集落過ぎると山間の中へ上り勾配がきつそう、登り切ると宿毛湾を一望できる。

愛媛大学によるカツオやマグロの養殖が盛ん。今度は坂を下りると点在する集落が見えてくる。道路は崖と海の間に通している、道路は集落を結ぶためバスを通すため、そして集落の先が終点となる。ここには商店はなく急坂続きでたどり着くので自転車で町まで出ることもなくバスが生活の足となる。

再び折り返し便に乗ると待つ人いないバス停で停車。常連2人が乗るはずだと運転士さんは語るが案の定、後ろから走って来た。その先も常連が何組か乗って来て狭きマイクロバスの車内はいつもの変わらぬ世間話で花が咲いていた。

城辺は同社老舗の夜行バスうわじま号に乗ると終点が城辺。宇和島を過ぎるとこちらも途中静かな内海を右手に暫く眺められる。

写真:広き海辺をポツンと一台のバスが行く。場所は愛媛県の最南部、愛南町。

67 千葉上総レンコンの産地、蓮畑を行く

千葉駅―柏崎―生実坂下―鎌取駅 [小湊鐡道]

かつて千葉県上総地方は蓮(レンコン)の産地であった。しかし千葉市郊外は宅地化でニュータウンとなり、房総地区も農家のレンコン造りの職人が減少して休耕地と化した。

そんな中、実生池には夏になると見事に花が咲きカワセミが戯れる。

県庁所在地、路線バスが多数行きかう千葉駅からバスに乗車し南下する。県庁過ぎると右手には京葉工業地域も見え街並みから住宅地へ。緑豊かな郊外地となり田畑の一部にピンク色の蓮の花が見えてくる。そして生実池に到着。池のほとりには夏祭りの準備なのかやぐらを組む作業が。

散策する傍ら船を押して職人が肩まで池に入り込む姿は並みならぬ作業だ。花の美しさを保てるように見えない根の部分、そうレンコン部分の根の手入れには余念がない。しかし船に乗せられているのは心無い者に捨てられたゴミや空き缶など。美しい花を守るために余計な仕事もしなければならない。

よくスイレン(水連)と間違えられるが池の片隅にスイレンらしき花も咲いていた。花の咲き方、葉の大きさや形が違い、見比べて違いを見るのも勉強になりそう。スイレンの場合は庭園の池など比較的身近に見受けられるが、葉がまん丸で水面に張り付いているのが特徴だ。

66 白川郷合掌造り集落

展望台シャトルバス [白山タクシー合資会社]

茅葺屋根の瀟洒な合掌造りの集落としてはわが国最大。

主に高速バスが高山から富山、金沢など濃飛バスとその共同運行の会社が立ち寄る。バスターミナルは荻町の入口で集落までは入らないし昼間はマイカーも入れない。

但し集落を一望できる展望台行き展望台シャトルは、集落の中のスイレン池横より9:00から16:00の間20分ヘッドで展望台まで数分で一気に登る。登れば集落は一気に見受けられる。

世界遺産文化遺産にも登録、一望した後は内部を見学できる民家もあるし、食堂、喫茶店、お土産屋として営業してもいるので気軽に入れる。一番の体験は民宿がいくつもあり宿泊するのが一番の思い出となるだろう。シーズンオフの冬場でも雪景色が美しく外国人のお客様が多い。

「本日の宿泊客は貴方がたった一人の日本人です」。囲炉裏を中心にいただく食事。自分が食べるとそのあとについて皆が真似して食べる。どうか良き日本人の手本となったのであろうか。

運行は白川村地元のタクシー会社、中型小型の観光バスも保有している白山タクシーが担当している。