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71 ネモフィラの美しさに包まれて

わんわんバス、とんとんバス [マザー牧場・場内周遊バス 千葉県富津市]

春真っ盛りに咲き競うネモフィラ。千葉県房総半島のほぼ中央に位置し雄大な敷地面積を誇るマザー牧場。数多くの動物たちとの触れ合いが楽しめるし、草食動物なので直接触ることが出来、自らの飼い犬も入場可能。動物の次なる楽しさは多くの植物が季節ごとに山の斜面に咲き乱れる。

温暖な房総に年が明けると、ロウバイ、水仙、少し暖かくなるとウメやモモ、そして房総のシンボル菜の花が350万本咲き、その次がネモフィラ。ネモフィラは80万本咲き乱れる。その傍らに発車するバス。広き園内を周遊する「わんわんバス」、2カ所の出入口近くのゲートを結ぶ「とんとんバス」が運行されている。

品川、横浜など神奈川県や東京城南のナンバーを付けたマイカーが目立つが、アクアライン使ったドライブに最適のようだ。公共交通なら、内房線の君津駅と佐貫町駅からマザー牧場行、日東交通の路線バスが利用できる。緑深き山の中へと坂を上り続け、静かな東京湾を一望できる風光明媚な路線だ。牛の牧場が左に見えてくると終点マザー牧場。

ネモフィラはゴールデンウィーク後まで美しき姿を見せているが、その後、アジサイ、ペチュニア、サルビアへと続き美しき花々が来園者を待っている。

70 箱根・大平台のヘアピンカーブ(箱根町・大平台駅付近)

観光バス [東栄運輸(株)]

大きなヘアピンカーブ、これでもれっきとした東海道国道一号線。

どこ行っても混んでいる正月は静かに過ごして、ブラウン管越しに箱根駅伝見ている人は一目瞭然。特に今年は多くの人がお茶の間で見るのでは。ここを通過する姿は定番。

普段は地の利の良さから、中京はもとより関西からもその西からも多数の観光バスがやってくる。もちろん東京の奥座敷とあり関東からの観光バスが多くやってくるが、写真の車両は埼玉県で50年の歴史を誇る貸切専業の東栄運輸の観光バス。早めの現地到着で、明るいうちから宴会が開催されるのだろうか。

ここへ路線バスで行くなら小田原駅から、湖尻行き(伊豆箱根バス)箱根町港行き(箱根登山バス)に乗車し大平台駅バス停下車。この前後も箱根観光地を車窓から眺められるおすすめ路線で、バス停名は違っても路線のクライマックス、終着は峠を越えた先の広く青い芦ノ湖。

現地は前述のとおり主要幹線で交通量がとても多くそして急坂のカーブ続き。低速走行は他車迷惑。そうならないようかなりの速度で路線バスも走るが、さすがベテランドライバー。シーズン週末は車内で乗客が立っていても豪快な速度でも揺れないで快走する。

69 澄みわった谷川岳の空気

谷川岳ロープウェイ~一ノ倉沢 [みなかみ町]

水上駅から関越交通の路線バスで20分。終点、谷川岳ロープウェイ駅。降りればロープウェイに乗り換える人、リュック抱えて歩いて行く人などそれぞれの目的地に。そしてここから一ノ倉沢までの電気バスが待機している。こちらのバスに乗る人は少数だが、数人が乗れば動き取れなくなりそうな小さなバス。

時間になると動きはじめ涼風が全体を癒す。夏季著しい暑さも忘れてしまうほどの涼しさだ。続く上り坂、カーブ続く急坂。リュック背にしている登山者に乗務員は手を振るし登山者も振りかえす。

一ノ倉沢は広き乗降場所。どこを見渡しても美しき緑の風景とおもいっきり空気を鼻からも口からも吸い込める癒しの場所。素晴らしき空気も緑も毎日のあわただしさを忘れたかの様なひとときだ。

この電気バス運行当初は、交通弱者のみ乗車できたが、今では誰でも乗ることができる。あくまでもみなかみ町の自家用なので、一律の金額を運賃に代わって募金箱に投入する。運行は関越交通が委託。バスに興味あってもここまで来たなら、バスは片道だけにしてどちらか一方は歩いて谷川の自然を満喫してほしい。

68 ポツンと一台バスは走る

城辺バスセンター―樫月下(かしづきした)[宇和島自動車]

城辺の路線バス拠点、城辺バスセンターを発車すると一旦役場を過ぎて南宇和病院へ立ち

寄る。そして僧都川渡るとショッピング街が集中している町で一番賑やかな人通り多い中を突き抜けて左折して再び僧都川を渡り南下する。集落過ぎると山間の中へ上り勾配がきつそう、登り切ると宿毛湾を一望できる。

愛媛大学によるカツオやマグロの養殖が盛ん。今度は坂を下りると点在する集落が見えてくる。道路は崖と海の間に通している、道路は集落を結ぶためバスを通すため、そして集落の先が終点となる。ここには商店はなく急坂続きでたどり着くので自転車で町まで出ることもなくバスが生活の足となる。

再び折り返し便に乗ると待つ人いないバス停で停車。常連2人が乗るはずだと運転士さんは語るが案の定、後ろから走って来た。その先も常連が何組か乗って来て狭きマイクロバスの車内はいつもの変わらぬ世間話で花が咲いていた。

城辺は同社老舗の夜行バスうわじま号に乗ると終点が城辺。宇和島を過ぎるとこちらも途中静かな内海を右手に暫く眺められる。

写真:広き海辺をポツンと一台のバスが行く。場所は愛媛県の最南部、愛南町。

67 千葉上総レンコンの産地、蓮畑を行く

千葉駅―柏崎―生実坂下―鎌取駅 [小湊鐡道]

かつて千葉県上総地方は蓮(レンコン)の産地であった。しかし千葉市郊外は宅地化でニュータウンとなり、房総地区も農家のレンコン造りの職人が減少して休耕地と化した。

そんな中、実生池には夏になると見事に花が咲きカワセミが戯れる。

県庁所在地、路線バスが多数行きかう千葉駅からバスに乗車し南下する。県庁過ぎると右手には京葉工業地域も見え街並みから住宅地へ。緑豊かな郊外地となり田畑の一部にピンク色の蓮の花が見えてくる。そして生実池に到着。池のほとりには夏祭りの準備なのかやぐらを組む作業が。

散策する傍ら船を押して職人が肩まで池に入り込む姿は並みならぬ作業だ。花の美しさを保てるように見えない根の部分、そうレンコン部分の根の手入れには余念がない。しかし船に乗せられているのは心無い者に捨てられたゴミや空き缶など。美しい花を守るために余計な仕事もしなければならない。

よくスイレン(水連)と間違えられるが池の片隅にスイレンらしき花も咲いていた。花の咲き方、葉の大きさや形が違い、見比べて違いを見るのも勉強になりそう。スイレンの場合は庭園の池など比較的身近に見受けられるが、葉がまん丸で水面に張り付いているのが特徴だ。

66 白川郷合掌造り集落

展望台シャトルバス [白山タクシー合資会社]

茅葺屋根の瀟洒な合掌造りの集落としてはわが国最大。

主に高速バスが高山から富山、金沢など濃飛バスとその共同運行の会社が立ち寄る。バスターミナルは荻町の入口で集落までは入らないし昼間はマイカーも入れない。

但し集落を一望できる展望台行き展望台シャトルは、集落の中のスイレン池横より9:00から16:00の間20分ヘッドで展望台まで数分で一気に登る。登れば集落は一気に見受けられる。

世界遺産文化遺産にも登録、一望した後は内部を見学できる民家もあるし、食堂、喫茶店、お土産屋として営業してもいるので気軽に入れる。一番の体験は民宿がいくつもあり宿泊するのが一番の思い出となるだろう。シーズンオフの冬場でも雪景色が美しく外国人のお客様が多い。

「本日の宿泊客は貴方がたった一人の日本人です」。囲炉裏を中心にいただく食事。自分が食べるとそのあとについて皆が真似して食べる。どうか良き日本人の手本となったのであろうか。

運行は白川村地元のタクシー会社、中型小型の観光バスも保有している白山タクシーが担当している。

65 河津桜の魅力

河津町役場  [(株)美杉観光バス]

新宿からの高速バスの終点にもなる修善寺。

電車の終点修善寺。東京からの特急踊り子号の終点でもある。ここの駅前は各 地へ行くバスのターミナルでもあり終日路線バスが多数待機している。

その中の一つ、河津駅行きに乗る。経路を見ると天城峠の文字が。先ほど新宿 から乗って来た若者も行き先を決めていなかったのか、路線図見たり案内所に 駆け寄ったりしてこのバスに乗り込んだ。温泉地修善寺から郊外へ出れば、わ さび畑も広がる。国道を快走し歌にも歌われた天城峠を越える。越えればひと だんらく。

湯ケ野を過ぎて河津に近づくにつれて車窓から色濃き桜が咲き競う。これが河 津桜。河津町役場前で降車すれば、道路の右左に桜トンネルができている。

役場前バス停は黒山の人だかり。そこを過ぎて右折すると原木が鎮座している。 ただの一本だけ、周りの堤防などまとまって美しさをかもし出しているが、こ こを通る人が足を止めたり、観光バスが徐行したりしている。まさに河津桜の 源だ。

写真のバスは東京からやって来た美杉観光バス。

64 さらにこれからも

黒磯駅―板室温泉―那須ハイランドパーク [東野交通]

東野交通は9月末日をもって100年以上続いた歴史の幕を閉じることになった。

沿線数多くある温泉の中で板室温泉の表示を見るとその終点へ行って見たくなる。黒磯駅は那珂川に沿って北上する那須高原への代表路線が発着するだけあって多くの乗客が行列をなしている。その発車数分前に板室温泉の表示をしたバスがやって来た。

黒磯駅を出て県道39号線をひたすら走る。県道だけあって古い町並みも、しばらく走れば田畑が広がりそうだが、なだらかな上り坂となり徐々に森林が目立ち始める。正面に山々が迫ってくると板室温泉に吸い込まれる。自由乗降バスなので終点手前の日帰り温泉の前で停車しほとんどの人が降車。宿も数件ありムード良き温泉町。その行き止まりが終点の折り返し所。バスはUターンする。

さあここからは週末と学休日のみしか走らない区間に。民家はほとんどない。終点は那須ハイランドパーク。写真はその平日は走らない森林の中を行く姿。東野交通は那須地区の路線を一手に営業し別荘と森林が良く似合う。

同じ栃木県の関東自動車との合併で名前はなくなるが、運行は今まで通り。いや今後さらなる発展に期待したい。

63 昭和の街をそのままに、福島県川俣町

川俣町―川俣中島―掛田 [福島交通]

絹の里として知られている川俣町。昭和の印象が強く建造物愛好者には静かに話題となっている。三階以上のマンションは見当たらず、集合住宅は郊外に団地、中心地は新しいアパートも二階建て。町のメインストリートは個人経営の商店街。食堂、旅館、呉服店、理髪店。大手メーカーの看板かかげた電気屋さん。通学帰りの小学生を見かけた傍らに本屋さん、文具屋さんがある。店舗を挟んで蔵がところどころ。路地に入ると長屋の民家。

町内を走る路線バス運行は3事業者。写真の福島交通が、国道349号が南北に通っているので町を一旦ひとまわりして両隣への集落へ。1972年に廃止となった川俣線鉄道代行バスは東北本線・松川駅から福島交通川俣営業所近くの川俣高校までカネハチタクシーが受託して運行。ジェイアールバス東北が福島駅から国道114号線をほぼ一時間おきに川俣高校まで、いずれも町を貫いている。町の隅々までのアクセスは町によりデマンドタクシーが運行されている。

このほか長距離便として高速車両を使用した福島交通の福島駅~原ノ町線が町の主要停留所に停車する。ほぼ同じルートをたどる東北アクセスの便は、町を通り過ぎた「いいだて村道の駅」に停車する。

都会から離れていることもあるけど、人口に対してバス路線も多いし、生活の一部として今後も運行を続けて欲しい。

62 エメラルドの海が輝く奥武島(おうじま)

久米島空港―兼城港―イフビーチ-西奥武-営業所(泊―西奥武)[久米島町営バス]

県外からは先ず那覇空港へ。そこで乗り継ぎ久米島空港へ。空港は島の最西端。連絡する町営バスで島の東の果てまで貫き、その果てに奥武島がある。

飛行機が着くと連絡するバスは一路線。飛行機到着時間に連絡し発車し外周道路、久米島一周道路の南側を東へと走る。離島の多くは山で囲まれ外周道路が生活道路でその道路沿いに民家や商店が点在する。光の影響か多くの島は島の南側が栄えている。

久米島も例外ではなく時々見えるエメラルドの海、東シナ海。船での玄関口、兼城港(かねぐすく)。島内一番の見どころ、イフビーチ。そのためか港にも空港にも近くないこの辺りが一番栄えていて、空港近くとここにしかない24時間営業のコンビニの前を通りバス車庫をかすめる。そして海中道路を走り通すと奥武島へとたどり着く。その先、西奥武でUターンし久米島へもどり車庫のある営業所が終点となる。

気の遠くなる場所に思えるが久米島空港に1台しか止まっていないバスに乗れば白い砂、エメラルドの海に輝く、美しき奥武島に到着する。