風景編」カテゴリーアーカイブ

バス風景を行く 小笠原村営バス 小港海岸 髙橋俊哉


80,東京最南端のバス停へ

日本バス友の会恒例バスツアー、昨年は都内走り回る都営バスに乗って、数少ない都営バスの観光バスを使って青梅を訪ねた。

路線バス終点の上成木は山の麓の静かな場所で都心とは違い、ここが都営バス標高最高と話が出た。

では都営バス関係なく東京の最北のバス停は?最南は?なんて話が出たあと、最南はここから1000キロ以上離れている調子はずれな話が出たが事実であった。

それは小笠原諸島の父島にある小笠原村営バスの終点小港海岸。

父島は空港なく6日に一度のフェリーで24時間かかり、フェリーは4日後に折り返すため6日の時間を要する。

村営バスは2路線あり港周辺の集落を一周する循環線、そしてもう一路線、扇浦線の終点が小港海岸である。

おがさわら丸が到着する二見港のある大村地区は島内最大の集落で郵便局、警察署、村役場が隣り合い、役場向かいに営業所があり、ここから発車して商店街、港を通れば民家もなくなり、ボニアンブルーの海岸線を走って扇浦海岸から内陸に入り、すでに周りは椰子やマングローブに囲まれたジャングル同然で終点に静かに到着する。停留所ポールにも東京最南端のバス停と明記されている。

バス風景を行く 豊橋鉄道 豊橋駅―伊良湖岬 髙橋俊哉


豊橋駅降りると緑の豊鉄バスが並ぶ。

豊橋鉄道が2007年からバス部門が独立したが名鉄系で、かつては車体も名鉄と同じ赤いデザインだった。鉄道の渥美線も名鉄ではあったが今では譲渡された形だ。

代表する路線は伊良湖岬行。

豊橋駅発車して市内走り抜けても家並みはなかなか途切れず、豊橋鉄道渥美線とも並行する。沿線比較的大きな町、城下町三河田原駅に到着するが鉄道はここで終点、乗り換えてくる人もいる。

ここからはバスのみのルートであるが、いきなり家も少なくなり平野部を快走する。産地なのかキャベツ畑が続く中、菜の花畑がさらに車窓を楽しませ、しばらく美しき車窓で長旅の疲れを和ませると青い海がようやく見えてくるが、これが渥美半島突端伊良湖岬。

地図でどこ探しても湖は存在しない。

そして岩浜が続き投流し島崎藤村の歌曲椰子の実の歌の舞台だ。この岩浜の音を耳に景色を目にしながら、名も知らぬと遠き島より漂着したと考えたりすると感動したりもする。

終点のターミナルは道の駅、フェリーターミナルになっている。遠く伊勢・志摩が見えるが、この先この船に乗って鳥羽から紀伊半島など紀州への旅を楽しむのも面白そう。

78 エメラルドの海わたって、池間島

宮古島市役所(宮古島)―平良―島尻―港漁港前(池間島)八千代バス

沖縄の離島は近年橋によってつながり生活に便利な島が増えてきた。

この池間島は宮古島とつながり路線バスもやってくるようになった。

宮古島は本土返還時には五事業者があったが、各社島の玄関口の平良港近くでそれぞれターミナルが存在し、それぞれ平良とバス停名を銘打ってお互い連絡することもなく運行されてきた。地元の人にはそれで困ることないが観光等には不向きであったし、そのころ県外利用者もあまり利用しなかった。その後八千代バス以外は統合され宮古共栄バスが島全体に路線網を持つようになった。もう一社八千代バスは貸切車を増車して主に観光バス中心として観光客乗せて島内観光に貢献するようになったが、路線は一路線のみ存在し、その一路線が池間大橋完成に付き延長され、池間島島民の足として貢献している。

今では伊良部島とも橋でつながり、伊良部島唯一の共和バスも宮古島入りして、この3社は宮古市役所移転と同時に、路線起点は全て市役所ターミナルからとなり、観光路線も加わり3社が顔を合わせるようになった。

77 桜の下の待機所

松戸駅東口~市立東松戸病院 [松戸新京成バス]

市立東松戸病院は、東京のベッドタウン千葉県松戸市における医療の中核を担う施設のひとつ。JR常磐線松戸駅から病院の玄関前までを松戸新京成バスの路線が結んでいる。

折返しの間合い時間などに使用する待機所は、病院の玄関前を避けてロータリーの向かい側に設けられている。その脇には桜の樹があり、開花する時期には桜のすぐ近くで待機することになる。

外来・入院の両方で地域の医療を支えてきたこの病院も2023年度限りで閉院となる。それにともない、このバス路線も3月31日の運行を最後に廃止となる。昨年は関東地方の桜の開花が早く、3月中に満開を迎えた。今年は昨年よりかなり開花が遅くなっている。そのため、この場所での満開の桜とバスの組合わせは昨年が見納めとなってしまった様である。(fuku)

76 時代は明治に戻って、車窓からも歩き回っても明治

明治村村内 [博物館明治村]

場所は愛知県犬山市にある博物館明治村 明治時代の建物を数多く保存してあり、時代劇等のテレビによく登場する。敷地内は広く移動も大変。そこで明治時代の汽車や市内電車が活躍している。そしてバスも登場した。残念なことにバスに関しては当時のものではなく、レプリカとして再現し敷地内を走行している。バスだけあって細かく、バス停があって停車場所が多く利用する人も多い。

1000本近くある桜の木、春は村内至る所がピンク色に染まるが、卒業、入学を記念して訪れる学生も多いが今年は桜満開のタイミングが難しそう。

明治時代の建物の中を走り行くのであるから、それとマッチしているバスとのコラボ写真数多く撮影できることだろう。

あくまでも公道ではなく村内の入村者が堂々と歩く中、人の歩く中を避けて走行することは、ドライバーの神経は相当大変。もちろん、そのような場所なので速度はいたってゆっくり。そのゆっくり利用してスナップ写真撮影も、車窓からの明治時代をしのんでの眺めも楽しめる。

アプローチは名鉄電車の他、名古屋から直通バスも運行されている。名鉄バスセンター発で栄以外、数カ所に停車してこちらも乗車が楽しめる。

75 ローカルとニュータウンが入り混じる路線

取手駅―北方車庫 [大利根交通自動車]

東京から電車で50分、千葉県から茨城県入りした直後の取手駅。

ここから少数精鋭の路線バス会社、大利根交通自動車。取手駅を拠点として数路線を運行するローカルバス会社。しかし取手は東京への通勤地として駅より離れた場所へもニュータウンが増えて右肩上がりのバス会社となった。

取手駅を発車すると今渡ってきた利根川沿いに東へ、他社のバスは直進するが大利根交通は右折し川の土手下を快走する。左は田畑が広がり右は河川敷、散策にスポーツに多くの近隣の人たちの憩いの場でもある。

バスはその先分離した他社路線と合流する。近年暴れ川となった小貝川渡ると羽根の台、新しい民家が並ぶ。広き緑に囲まれた大自然豊かな住宅地をかつてのローカルバスが行く。

まもなく営業所のある北方車庫に到着するが、路線によってはこの先の新興住宅地を回る路線もある。 末広がりの印象がある大利根交通だ。

74 琵琶瀬展望台

26系統霧多布線 くしろバス本社―釧路駅―厚岸営業所―琵琶瀬展望台―霧多布温泉ゆうゆ [くしろバス]

北海道も道東までくると更に北海道らしさを感じる。雪の積雪量は比較的少ないが、風は強く寒さは厳しさを増す。

釧路駅前から26系統霧多布線に乗車すると、先ずは市内を一周する。市内を抜けると国道44号線を西へ。民家もなくなり、のどかな牧場眺め家畜の白く吐く息は北海道の寒さの厳しさ、ここで生活する人たちとともに生き抜く動物の活気ある姿がうかがえる。

湿原を飽きるほど眺めると、やがて見えてくるのが青い海、そして久々に町が見えてくる。これが厚岸。一旦町中へ入り込んで駅前の営業所で時間調整。国道44号から分離して海岸線を行く。右に太平洋、左に厚岸湖、藻散布沼、火散布沼などを眺めると霧多布湿原を一望できる琵琶瀬となる。

この琵琶背過ぎて地平線と水平線を一度に見ることができる。左に湿原右は太平洋の贅沢な車窓を受けて浜中の町に。町を貫き急坂上ると港が一望できる丘の上にたどり着く。街の人たちの憩いの場所でもある霧多布温泉ゆうゆに到着。日帰り温泉が体を温めるが、外へ出ると露天風呂もある。風強い氷点下から熱いお湯につかるのは快感。

73 海上を行く

しまなみ海道来島海峡大橋 [(株)仁多観光 (株)瀬戸内しまなみリーディング]

本州から四国連絡橋3本のうち一番西側に位置し開通は3番目、つまり最後に開通した連絡橋。通称尾道今治ルート、瀬戸内しまなみ海道と呼ばれている。

これで香川県や徳島県の四国東側に対し四国西側の奥地となる愛媛県、高知県へのアクセスが便利になった。

手前の仁多観光は島根県の観光バス会社、山陰から四国西部へは距離的には短いが交通ルートは不便だったのでは、今では四国旅行を気軽に楽しむことが出来て、この日も思い出深い旅を終えて本州へ向け帰路に就くのだろう。

対する左奥側を走るのは、橋を渡って四国入りする定期バス、瀬戸内しまなみリーディング。メイン路線の福山―今治を結ぶ他、本州側は広島発も、四国側は松山行きもある。

撮影したのはこのしまなみ道の中で最も南側の来島海峡大橋、定期バスは瀬戸内しまなみリーディングをはじめ地元の多くのバス会社。また各地からやって来る観光バスが、四国から本州へ、そして本州から四国入りするバスが常に行きかい見ていて飽きない光景だ。

72 ひょうたん山

右回り 赤岩曉―三七山[三宅島村営バス]

三宅島の路線バスは島の外周道路を一周する一路線のみ。左回りと右回りが5便ずつあり、どちらもほぼ同じ時間に発車しその右回りに乗る。坪田地区の最北が起点となる三池でここから乗車して左回りとすれ違う。左回りは坪田地区最南の高校前が起点となる。

島を一周すると左に御蔵島が見えてきて、ひょうたん山のヘアピンカーブの急坂を上る。1940年の噴火で出来た山で海にも飛び出ている。写真はこの展望台から撮影。見晴らし良く美しいが、黒い溶岩流が目に入り胸を痛める。登り詰めると先ほど乗車した起点となる三池。まだ終点ではなく左回りともう一度すれ違えば終点高校前となる。この三池と高校前は坪田地区の中心部とあって一周して更にこの部分だけ重複して走る。

三宅島は釣り、海水浴、スキューバダイビングなどの海を活用した楽しみ、そして自然に恵まれた観光地も多数あるが、前述のとおり火山の噴火で青き海と、草原の緑美しい自然に恵まれているが、黒い溶岩の傷跡が多く苦労された住民のことを考えて、その姿を十分にみてねぎらってほしい。

71 ネモフィラの美しさに包まれて

わんわんバス、とんとんバス [マザー牧場・場内周遊バス 千葉県富津市]

春真っ盛りに咲き競うネモフィラ。千葉県房総半島のほぼ中央に位置し雄大な敷地面積を誇るマザー牧場。数多くの動物たちとの触れ合いが楽しめるし、草食動物なので直接触ることが出来、自らの飼い犬も入場可能。動物の次なる楽しさは多くの植物が季節ごとに山の斜面に咲き乱れる。

温暖な房総に年が明けると、ロウバイ、水仙、少し暖かくなるとウメやモモ、そして房総のシンボル菜の花が350万本咲き、その次がネモフィラ。ネモフィラは80万本咲き乱れる。その傍らに発車するバス。広き園内を周遊する「わんわんバス」、2カ所の出入口近くのゲートを結ぶ「とんとんバス」が運行されている。

品川、横浜など神奈川県や東京城南のナンバーを付けたマイカーが目立つが、アクアライン使ったドライブに最適のようだ。公共交通なら、内房線の君津駅と佐貫町駅からマザー牧場行、日東交通の路線バスが利用できる。緑深き山の中へと坂を上り続け、静かな東京湾を一望できる風光明媚な路線だ。牛の牧場が左に見えてくると終点マザー牧場。

ネモフィラはゴールデンウィーク後まで美しき姿を見せているが、その後、アジサイ、ペチュニア、サルビアへと続き美しき花々が来園者を待っている。